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Date: Fri, 15 Feb 2019 22:42:09 +0900
From: 尾谷昌則 <masa.odani@gmail.com>
Subject: [PSJ-News:00449] シンポジウム「インタラクションと信頼」のご案内
To: psj-news <psj-news@pragmatics.gr.jp>
Message-Id: <CAGLeuOaxtho_gNWSD20ZEcfc=B9HV7FyaUrg-8BELsHeHskc2A@mail.gmail.com>
X-Mail-Count: 00449

日本語用論学会会員の皆さま
(※ML専用アドレスから配信しておりますので、本メールへの返信はご遠慮ください。)

高梨克也先生(京都大学)より、シンポジウム「インタラクションと信頼」のご案内を頂きましたので、会員の皆さまにお知らせ致します。
なお、重複してお受け取りの場合は、何卒ご容赦下さい。

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関連研究者の皆様
#重複して受け取られた方はご容赦ください.

「インタラクションと信頼」シンポジウムのお知らせ

日程:2019年3月10日(日) 13:00-17:00
場所: 東京大学山上会館
https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_02_j.html
※参加費無料,事前参加申込不要

[開催趣旨]

人間が共同して社会生活を営む上で他者への信頼はなくてはなりません.
現代AI社会においては信頼の重要性がますます高まっています.信頼は
人間社会を支える基本的な心的機構と位置づけられるでしょう.家族や
友人とのやりとりから学校,職場,病院など我々は日常生活の様々な
場面でコミュニケーションによって共同で課題解決に当たります.
コミュニケーションに伴う言語・非言語インタラクションは同時に当事者
間での信頼の形成・維持に貢献します.そして構築された信頼が共同課題
解決を支えます.

本シンポジウムでは,信頼概念の哲学的背景と現代における広がり,信頼
の心的機構としての特徴付け,インタラクションを通じた信頼形成・維持
のメカニズム,信頼がインタラクションに与える影響,信頼と倫理,などに
ついて理論・実践の両面から研究の現状を確認し,今後の展開について
議論します.

[プログラム]

13:00-13:05 開会

13:05-13:50 招待講演1

「信頼研究の多様性を分析する」
小山虎(山口大学時間学研究所)

信頼(trust)は我々が社会生活を営む上で不可欠なものであり,様々
な分野で信頼が研究されているのも,信頼が人間社会の根幹を成して
いるからだと考えられる.しかし,各分野での信頼研究を具体的に見て
みると,研究対象が本当に共通しているかどうか明らかではなく,
むしろ分野による違いが目立つため,他分野の知見を取り込むことは
容易ではなくなっている.
本講演では,このような状況を踏まえ,様々な分野で研究されている
「信頼」の分野ごとの違いと共通性を概念的・歴史的観点から概観する
ことで,分野をまたいだ研究に資する見取り図を与える.また,リスク
や安心といった関連する概念にも言及することで,狭義の信頼に
留まらない研究の広がりを示す.

13:50-14:00 休憩

14:00-14:25 報告1

「信頼と共関心」
片桐恭弘(公立はこだて未来大学)

信頼は人間同士の協働活動を支える重要な心的機能である.直観的には,
確実な根拠を伴わないままに他者の行為を想定して,その想定を前提と
して自己の行為を選択することを可能とする心的機構のように規定する
ことができるだろう.信頼はインタラクションを通じて構築されると
ともに動的に維持更新される.信頼を他者の信頼に応える行動は人間
関係の強化に貢献する一方で,信頼を裏切る行動は強い負の感情的反応
や制度的罰を惹起する.
これまで医療場面やコンサルテーション場面での会話の分析に基づいて
信頼構築の会話インタラクションを関心(concern)の擦り合わせと捉える
モデルを提案してきた.それらの分析に基づいて心的機構としての信頼
の特徴付けと倫理的判断について考える.

14:25-14:50 報告2

「起業コンサルテーション会話における信頼構築・維持のための実践の解明」
高梨克也(京都大学大学院情報学研究科)

現代社会において,クライアントとの直接的なコミュニケーションを
通じてサービスを提供するさまざまな「コミュニケーション専門職」の
果たす役割はますます大きくなりつつある.これらの専門職にとっては,
クライアントとの会話の積み重ねを通じて信頼を構築・維持していく
ことが不可欠である.しかし,個々の会話の流れに応じて,どのような
行動をとることによって信頼の構築・維持が可能になっていくのかを
会話の実事例に即して具体的に解明していくことなしには,専門職の
実践はいつまでも暗黙知の次元にとどまり,改善や教育などにつなげて
いくことは難しい.そこで,本発表では,経営コンサルタントがベン
チャービジネスの起業家との間で複数回実施したミーティングの事例を
詳細に分析することを通じて,コンサルタントが行っている実践上の
工夫の一端を明らかにすることを目指す.

14:50-15:15 報告3

「専門家と非専門家とのコミュニケーションにおける信頼?医療現場の
実践を例に?」
石崎雅人(東京大学大学院情報学環)

専門家と非専門家とのコミュニケーションにおいて,信頼はきわめて
重要であると考えられている.しかし,そのことは,円滑なコミュニ
ケーションが信頼によって実現されることを必ずしも意味しない.
本発表では,医療現場の実践に関するインタビュー調査をもとに,
医療関係者が信頼をどのようなものとして捉えているか,また,信頼を
めぐって医療関係者と患者との間にどのようなことが起こり得るかを
見ていくとともに,医療実践における具体的なインタラクションを
検討することにより,専門家と非専門家とのコミュニケーションに
おける信頼の課題について議論する.

15:15-15:25 休憩

15:25-16:10 招待講演2

「無知と寛容と信頼と:倫理学的視点から」
水谷雅彦(京都大学大学院文学研究科)

社会学における「ホッブズ問題」(パーソンズ)においては,いかにして
目的合理的(功利的)に行為する平等な諸個人の間で社会秩序が形成
されるのかという問題に対する「価値の共有」という答えがある.
これは,コミュニケーションの可能性の条件を秩序(価値の共有)に
求める見解であり,それに対して,秩序の可能性の条件をコミュニ
ケーションに求める見解がある.これは,ルーマンによるパーソンズの
ダブルコンティンジェンシー理論の転換ともいえる.つまり,コミュニ
ケーションにとっての障害としてのダブルコンティンジェンシー,
相互(共有)知識問題からコミュニケーションの可能性の条件としての
ダブルコンティンジェンシーへの転換がそれである.しかし,コミュニ
ケーションの可能性の条件(制約)としては,他に,無知や寛容といった
概念も要求される.本報告では,こうしたことを倫理学的観点から考察する.
時間があれば,最近の流行である信頼の「可視化」に伴う問題を中国を
事例として紹介したい.

16:10-17:00 全体討論


本研究会合は科学研究費基盤研究(B)(18H03292)「相互関心調整を基盤とする
共感的インタラクションのモデル化と合意形成支援」によって実施します.



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