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Date: Thu, 26 Sep 2019 17:14:46 +0900
From: 尾谷昌則 <masa.odani@gmail.com>
Subject: [PSJ-News:00510] 第10回動的語用論研究会のリマインダー
To: psj-news <psj-news@pragmatics.gr.jp>
Message-Id: <CAGLeuOZ+rF7ygpqOt0o3iCEyYH1yM7psR2q4oAjhCJNg7av6ew@mail.gmail.com>
X-Mail-Count: 00510

日本語用論学会会員の皆さま
(※ML専用アドレスから配信しておりますので、本メールへの返信はご遠慮ください。)

田中廣明 先生(京都工芸繊維大学)より、「第10回動的語用論研究会」のリマインダーを頂きましたので、会員の皆さまにお知らせ致します。
なお、重複してお受け取りの場合は、何卒ご容赦下さい。

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皆さま

日程が迫ってきましたので、再送します。ふるってご参加下さい。

田中廣明
京都工芸繊維大学

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第10回動的語用論研究会

https://sites.google.com/site/dynamicpragmatics/home

日時:2019年9月28日(土)1:00P.M.?5:00 P.M.
場所:京都工芸繊維大学(松ヶ崎キャンパス)60周年記念館1階記念ホール
http://www.kit.ac.jp/
交通案内 http://www.kit.ac.jp/uni_index/access/
最寄り駅から松ヶ崎キャンパスへの案内 http://www.kit.ac.jp/uni_index/matsugasaki/
キャンパスマップ https://www.kit.ac.jp/uni_index/campus-map/
https://www.kit.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2013/06/map_matsugasaki181001.pdf

受付:12:30 p.m.?
趣旨説明と講師紹介:12:50p.m.?1:00 p.m.
「ことばのダイナミズム」:田中廣明(京都工芸繊維大学)

【研究発表】
テーマ:「ことばのダイナミズム」
.
1. 北野浩章(愛知教育大学)1:00p.m.〜1:50p.m.
「会話と文法:引用の「って」をめぐって」

2. 池沙弥 (椙山女学園大学)2:00p.m.〜2:50p.m.
「インタラクションのBackchannel Sequenceにおけるスマイルとスタンスの関係性」

(休息)

3. 山田仁子(徳島大学)3:10p.m.〜4:00p.m.
「目が笑ってない?笑顔カテゴリーと「山型の目」」

4. 定延利之(京都大学)4:10p.m.〜5:00p.m.
「マスモードの思考―「びんの小鬼」をめぐる覚え書き」

連絡先:田中廣明(京都工芸繊維大学)
〒606-8585 京都市左京区松ヶ崎橋上町 京都工芸繊維大学
Email: htanaka-at-kit.ac.jp (-at-を@に変えてください)
参加費は無料。事前登録必要なし。
終了後、懇親会5,000円(場所は未定)

世話人兼発起人:田中廣明(京都工芸繊維大学)・岡本雅史(立命館大学)・小山哲春(京都ノートルダム女子大学)・木本幸憲(兵庫県立大学)・西田光一(山口県立大学)・五十嵐海理(龍谷大学)・山口征孝(神戸市外国語大学)・吉田悦子(三重大学)・秦かおり(大阪大学)

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「第10回動的語用論研究会--動的語用論(Dynamic
Pragmatics)の構築へ向けて」(京都工芸繊維大学・田中廣明研究室主催)を、第1回目?第9回目と同じく京都工芸繊維大学で、来る9月28日(土)に開催いたします。今回も、「動的語用論の構築へ向けて」と題し、「ことばのダイナミズム」から「「会話と文法」「インタラクションにおけるあいづちとスマイル」「笑顔のカテゴリー化」「マスモードの思考」に見られるダイナミズム」をぞれぞれの講師にお話しいただきます。今回は、4人の講師に、研究発表として、それぞれのお立場から、様々な角度で切り込んでいただきます。前半のお二人(北野先生、池先生)は、会話とインタラクション、後半のお二人(山田先生、定延先生)は認知と思考に焦点を当てますが、スマイル(笑顔)の話題が、真ん中のお二人に続きます。

今回の第10回動的語用論研究会の開催が、我が国の言語研究に一石を投じられたらという願いで開催したいと思います。ふるってご参加ください。

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発表要旨

1. 会話と文法:引用の「って」をめぐって
北野浩章(愛知教育大学)

この発表では、日常会話をもとにした文法研究の一事例として、「って」という引用の標識を考察する。
まず、引用標識「って」を、実際の使用に基づいて記述する。本発表では、統語・分布的基準によって、?連用用法の「って」、?連体用法の「って」、?提題助詞の「って」の3種類にわける。次に、田窪、丹羽らによる先行研究で言われていることと、日常会話データを突き合わせて詳細な検討をする。このように理論と記述を突き合わせるプロセスを経て、両者をより精緻にすることを目指す。

2.インタラクションのBackchannel Sequenceにおけるスマイルとスタンスの関係性
池沙弥 (椙山女学園大学)

日本語会話における相槌(backchannel)はその頻度が注目されることが多く、また聞き手の行動として取り上げられることが多い。しかしながら、インタラクション分析から相槌は話し手と聞き手の協働によってプロデュースされていることが分かる。特に日本語会話と日本人による英語会話ではBackchannel
Sequenceと呼ばれるあいづちの連鎖が見られ、聞き手だけでなく話し手も積極的に相槌行動をとっている。つまり、相槌は話し手を促すContinuerとしてや、聞き手の理解と会話への関与を示す働きだけでなく、互いのスタンスマーカーとしての働きを持っているのである。
今回はこのBackchannel
Sequenceの中で見られる会話参与者の行動に焦点をあて、発話として出される相槌とそれに伴う非言語行動、特に笑顔の働きとスタンスの関係性に注目する。笑顔はポジティブな心理状態を反映する非言語行動のひとつであり、その特性からAffective
stance markerとして考えられる。一方、インタラクションにおいて笑顔は相手に伝染することが報告されており、Affiliative
stance
markerとしての機能も合わせて持っていると考えられる。Backchannel
Sequenceにおける笑顔の機能を分析することで、参与者がどのように互いのスタンスを認識し、ラポール形成に努めるのかを明らかにする。

3.目が笑ってない?笑顔カテゴリーと「山型の目」
山田仁子(徳島大学)

表情は自然に「現れる」だけのものではなく、意図的に「現す」ものでもある。知り合いに会った時、嬉しくて思わず笑みがこぼれることもあるが、気分が落ち込んでいる時でも私たちは笑顔を作って挨拶する。相手に不幸なことが起きたことが分かっていれば、笑顔は見せず悲しげな表情を見せて、相手の心に寄り添う。人間どうしの交流における表情は、会話における「ことば」のように重要な役割を果たす。
ことばのように機能する表情は、単語のようにカテゴリー化されて人の知識に組み込まれている。「笑顔」という表情もカテゴリーとしてのプロトタイプがある。コミュニケーションにおいて人がその顔に作って見せる笑顔は、その人の頭の中にある「笑顔」カテゴリーのプロトタイプに近いものとなり、またその表情を見る側の人も、自らが抱く「笑顔」カテゴリーと照らし合わせて表情を判別し理解する。
最近コンピューターや携帯電話、スマートフォンなどでは、「笑顔」の絵文字が用いられるが、その絵文字はこれを使う人が抱く「笑顔」カテゴリーの性質を反映していると考えられる。英語圏のsmileの絵文字ではU字型の口が特徴であるのに対して、日本語圏における「笑顔」の絵文字では山型の目が特徴的なデザインが多い。この現象は、現代日本語圏の「笑顔」カテゴリーのプロトタイプが、山型の目をした顔だということを示している。山型の目をしていなければ、「目が笑ってない」と指摘される。本当の笑顔ではないと判断されてしまうのである。
しかし、「笑う」様子を描写する日本語の言語表現を『日本国語大辞典』で古いものから調べてみると、「目」周辺の変化を含む表現が見られるのは、17世紀頃からのことであることが分かる。それより前の時代には、「顔全体」や「頬」、「眉」の変化を含む表現が笑いの描写に用いられている。現代の日本語圏で「笑顔」と密接に結び付いている「山型の目」は、かつてはそれほど重要な役割を果たしていなかったのである。
では17世紀より以前には「山型の目」は日本語圏でどのように解釈されていたのであろうか。また外国語圏で「山型の目」はどのような場合に現れるのだろうか。「山型の目」をしていれば「笑顔」であるという思い込みからいったん自由になって、「山型の目」が表し伝えてきたもの、また表しうるものが何なのか、15世紀頃の能面や現代の外国語の絵本などの視覚的表現に、その答えを探りたい。

4.マスモードの思考―「びんの小鬼」をめぐる覚え書き
定延利之(京都大学)

人間の思考法には、個人が推論をめぐらし判断する思考法(以下「個体モードの思考法」)だけではなく、「マスモードの思考法」とでも呼ぶべきものがある。マスモードの思考は個体モードの思考に還元できず、個体モードの思考によれば決して到達しないはずの結論に人間を導く。この思考の根拠は「みんなそう考えるだろうから」という「他力本願」的な、つまり個体モードの思考からすれば驚くほど脆弱なものでしかない。かといってマスモードの思考は、「自分で思考することを放棄し既存の慣習に隷従したがる」あるいは「付和雷同したがる」といった人間の性向として片付けられるものではなく、思考法と呼ぶに足るものを持っている。というのは、「既存の慣習」や「付和雷同すべき群れ」が存在しない場合でも、マスモードによる言動は(少なくとも創作世界では)違和感がないからである。マスモードの思考法の根拠、「みんながそう考えるだろうから」の「みんな」とは、単なる多数ではなく不特定多数の他者でなければならない。個体モードとは別の思考法を「他力本願」できる基盤は、ここにあるのだろう。太宰治の『走れメロス』や、ロバート・ルイス・スチーヴンソンの『びんの小鬼』を題材に、マスモードの思考法の特徴を観察したい。




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