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Date: Tue, 28 Jan 2020 20:40:54 +0900
From: 尾谷昌則 <masa.odani@gmail.com>
Subject: [PSJ-News:00541] 動的語用論研究会(第11回)のご案内
To: psj-news <psj-news@pragmatics.gr.jp>
Message-Id: <CAGLeuOb=LwVpOj4x8LBRfhWFL-b0yfe-vXi_AbV_TYLH9VOoTw@mail.gmail.com>
X-Mail-Count: 00541

日本語用論学会会員の皆さま
(※ML専用アドレスから配信しておりますので、本メールへの返信はご遠慮ください。)

田中廣明先生(京都工芸繊維大学)より、「第11回 動的語用論研究会」のご案内を頂きましたので、会員の皆さまにお知らせ致します。
なお、重複してお受け取りの場合は、何卒ご容赦下さい。

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皆さま

第11回動的語用論研究会を、下記の日程で開催いたします。ふるってご参加下さい。

https://sites.google.com/site/dynamicpragmatics/

田中廣明

京都工芸繊維大学

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日時:2020年3月29日(日)1:00P.M.?5:00 P.M.
場所:京都工芸繊維大学(松ヶ崎キャンパス)60周年記念館1階記念ホール
http://www.kit.ac.jp/
交通案内 http://www.kit.ac.jp/uni_index/access/
最寄り駅から松ヶ崎キャンパスへの案内 http://www.kit.ac.jp/uni_index/matsugasaki/
キャンパスマップ https://www.kit.ac.jp/uni_index/campus-map/
https://www.kit.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2013/06/map_matsugasaki181001.pdf


受付:                12:30 p.m.?

趣旨説明と講師紹介:        12:50p.m.?1:00 p.m.
「ことばのダイナミズム」:田中廣明(京都工芸繊維大学)

第一部 【研究発表】         1:00 p.m.?3:10 p.m.
テーマ:「ことばのダイナミズム:
ひとの認知について(レトリックとオノマトペ)」
.
1. 小松原哲太(立命館大学)        1:00p.m.〜2:00p.m.

身体部位詞の換喩の効果?身体感覚を表現するレトリック?

2. 秋田喜美 (名古屋大学)        2:10p.m.〜3:10p.m.

「なぜ笛はピーと鳴るのか:ディピクションをマークする3つの方法」

(休息)

第二部 【講演】            3:30 p.m.?5:00 p.m.
テーマ:「ことばのダイナミズム:共通基盤化について」

【講演】
「動的語用論の構築へ向けて
?われわれはどのように「ひずみ」を埋めているのか:共通基盤化の例から?」
田中 廣明(京都工芸繊維大学)

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発表要旨

1. 身体部位詞の換喩の効果?身体感覚を表現するレトリック?

小松原哲太(立命館大学)

身体部位詞に換喩 (metonymy)
の用法がしばしば見られることは広く知られている。例えば、手の表現が肉体労働の担い手を示し
(e.g. Many hands make light work)、頭の表現が頭脳労働の担い手を示す (e.g.
Two heads are better than one) ことがある (Dancygier and Sweetser
2014)。このように、身体部位詞の換喩は、ターゲットとなる人物の身体的機能に焦点を当てる効果をもつことが多い。しかし、身体部位詞の換喩の効果は、これだけにとどまらない。本発表では、知覚範囲が限定的であることや、身体がうまく制御できないことを暗示する換喩の例を取りあげ、身体部位詞の換喩が、特別な身体感覚や知覚経験を表出するための言語的手段の一つであることを示し、換喩の効果は、身体についての解釈
(construal) の動的な認知プロセスに動機づけられていることを例証する。


2.なぜ笛はピーと鳴るのか:ディピクションをマークする3つの方法

秋田喜美 (名古屋大学)

オノマトペは、対象を音声で模倣的に再現しようとする“depiction”の一種とされる。直接引用や類像的ジェスチャーの特徴でもあるdepictionは、恣意的な言語記号からなる“description”とは別個の表示モードと考えられている(Kita
1997; Dingemanse 2015;
Clark2016)。本発表では、このモードの差異をマークする方法を「前景化」、「背景化」、「仲介・隔絶」の3種に分け、depictionの類型論を進めるための土台を提供する。これにより、従来関心を集めてきたdepictionの特徴(例:韻律的卓立、引用構文)は、いずれも前景化と仲介・隔絶の例であることを指摘する。その上で、日本語オノマトペにおける重音節の例外的アクセントパタン(例:笛がピー|と鳴る;cf.雛がピ|ーと鳴く)に背景化が関与していることを論ずる。


3.動的語用論の構築へ向けて
?われわれはどのように「ひずみ」を埋めているのか:共通基盤化の例から?

田中廣明(京都工芸繊維大学)

「『ことばは動いている』という命題に反論する人はいないであろう」という問いかけから、田中・秦・吉田・山口(編)(2019)『動的語用論の構築へ向けて(第1巻)』(開拓社)では、言語の動的な性質を様々な側面から探っている。この中で、(発表者を含む)編者たちは第1部「共通基盤化」と題して、ことばが、いま、ここで、対話者の間で誤解や理解が不可能な状態から、理解が可能な状態へ到達する様子を、「共通基盤化」というキーワードで、様々に探った。この発表では、編者たちの立場をまとめるとともに、共通基盤化が前提としている、ことばの「ひずみ」とも言うべき、対話者間で、様々に不理解が生じている現象を見ていくことにする。
共通基盤化(grounding)(共通基盤(common
ground))へ向かう局面(phase)を、話し手からの「呈示の局面(presentation
phase)」と聞き手からの「容認の局面(acceptance phase)」に分けたのはClark
(1996)である。話し手はことば(シグナル)を聞き手に提示し、協調して、今現在の発話目的を達成するために、理解がなされたという相互理解を得るようにする(Clark
1996)。理解が得られない場合は、様々な手法を駆使して、調整(coordination)が行われるとされている。この見方は、Grice以来、語用論の中に息づく、協調性(cooperativeness)の概念に基づくものである。大局的には、この原理原則に(Clarkとその同僚達は発展的に異なるところがあるにせよ)異を唱えるところではないが、これだけでは、誤解や修復といった「ひずみ」の局面をどのように扱えばよいかが、まだまだ不鮮明であろう。
そこで、編者たちは、田中(2018,
2019(上掲書所収論文))で主張した、話し手の「自己中心性(egocentricity)」(Kecskes
2014)を元にして、発話の段階を大きく4つに分け(自己中心性?修復?協調?解決)、発話がストップする場面を取り上げ、共通基盤化が達成される場面を見てきた。
本発表では、話し手の自己中心性が、対話者間のスムーズな意志伝達を前提としない(協調性を前提としない)局面になっているのかという問題に切り込むこととする。
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参加費は無料。事前登録必要なし。

動的語用論研究会

世話人兼発起人:田中廣明(京都工芸繊維大学)・岡本雅史(立命館大学)・小山哲春(京都ノートルダム女子大学)・木本幸憲(兵庫県立大学)・西田光一(山口県立大学)・五十嵐海理(龍谷大学)・山口征孝(神戸市外国語大学)・吉田悦子(三重大学)・秦かおり(大阪大学)



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