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Date: Thu, 3 Jun 2021 11:26:49 +0000
From: YAGIHASHI Hirotoshi <yagihashi@ks.kyorin-u.ac.jp>
Subject: [PSJ-News:00656] 2021年度ひと・ことばフォーラムオンライン研究会「言語的コンプレックス」ご案内
To: psj-news <psj-news@pragmatics.gr.jp>
Message-Id: <TY2PR02MB382164B5F35E7D9BD65BB90FE93C9@TY2PR02MB3821.apcprd02.prod.outlook.com>
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日本語用論学会会員の皆さま
(※ML専用アドレスから配信しておりますので、本メールへの返信はご遠慮ください。)

佐藤恵先生(獨協大学)より、「ひと・ことばフォーラム」のご案内を頂きましたので、会員の皆さまにお知らせ致します。
なお、重複してお受け取りの場合は、何卒ご容赦下さい。

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2021年度ひと・ことばフォーラムオンライン研究会「言語的コンプレックス」ご案内

2021年度は「言語的コンプレックス」をテーマに計3回連続研究会を開催いたします。
コンプレックスという言葉は、日本語では劣等感、劣っていることに関する複雑な思い、
inferiority complexの意味で使われますが、英語のcomplexはより広い概念、
複雑な、複合の、込み入ったといった意味をもちます。「言語コンプレックス」ではなく、
「言語的コンプレックス」というテーマから立ち現れる言語に関する視界の拡がりを
期待しています。

2021年度第1回目(通算第33回)は、日本語教育、言語多様性保全・継承をご専門とする
寺尾智史氏(宮崎大学准教授)をお迎えし、ご自身の言語経験や研究をもとに
マイノリティ言語の周縁意識や多様性保持とメディアへの現れ方についてお話をいただきます。
そしてブータン研究、多言語社会をご専門とする佐藤美奈子氏(近畿大学非常勤講師)に
指定討論者として、若者のメディア利用を中心にブータンの多言語状況についてご紹介
いただきます。さらに発表者、指定討論者のお話に加えて、全体ディスカッションを通じて、
言語的コンプレックスについて議論し、ことばとアイデンティティ、モビリティを巡って
考えていきます。

☆開催日時:2021年6月26日(土)10:00〜12:00
☆会場:ZOOM上で実施
※参加申込をされた方に6月24日(木)にURL及びパスワードをお送りします。
☆参加費:無料
☆プログラム:
10:00-10:05 趣旨説明:三宅和子(東洋大学)
10:05-10:45 発表者:寺尾智史(宮崎大学准教授)
「播州ことばから出発したマイノリティ言語の周縁意識と多様性保持のストラテジー」
10:45-11:05 指定討論者:佐藤美奈子(近畿大学非常勤講師)
「ブータンの多言語状況と言語の複層化:コロナ禍における若者たちの民族語による啓発ビデオの制作と配信」
11:05-11:15 休憩
11:15-11:55 全体ディスカッション
11:55-12:00 閉会・連絡
-----(以下希望者のみ自由参加)
12:15-13:00 ランチタイム懇談会
☆企画:三宅和子(東洋大学)、新井保裕(文京学院大学)、岸本千秋(武庫川女子大学)

学期中のご多忙の時期とは存じますが、多くの方にご参加いただければ幸いです。
オンライン開催の都合上、ご参加を希望される方は2021年6月23日(水)までに
下記フォームよりお申し込みください。多くの方々のご参加をお待ち申し上げております。
なお研究会運営のため、申込は先着100名のみ受け付けさせていただきます。上記締切日
より早く締め切る可能性があることをご容赦ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScFw_Tm1WPtvf-4mmOuQd3LZUrTf6Z-f5lF4rxhhgVuhz75SA/viewform?usp=sf_link  
<https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScFw_Tm1WPtvf-4mmOuQd3LZUrTf6Z-f5lF4rxhhgVuhz75SA/viewform?usp=sf_link>

☆発表要旨
・寺尾智史(宮崎大学准教授)「播州ことばから出発したマイノリティ言語の周 
縁意識と多様性保持のストラテジー」
キーワード:
言語多様性理解/ことばのカテゴライズとコンプレックス/ことばの再身体化 
構音障碍持ちであった発表者は、言語的コンプレックスと生まれながらに付き合 
うことを余儀なくされた。なんとか周りが理解可能に話せるようになったことば 
は、マージナルな私を脱し、晴れて中心の仲間入りを果たせる標準語でなく播州 
弁と呼ばれる、やはりコンプレックスを負わされたことばだった。故郷の東播地 
域は多くの境界の明確/不明瞭な線上であった。畿内でない近畿地方(畿外=化 
外感の強調)、山陽地方ではない山陽道、文法体系が瀬戸内なのにアクセントは 
京阪式、住人自身は播州を隠蔽し「神戸のやや西」・・・分類上割り切れない、 
マージナル(周縁・辺境)で、ネガティブなモヤモヤ感を抱え込む。この感覚と 
の付き合い方を探るのが研究動機となっている。まずは対照させようと、カタ 
ルーニャ語からミランダ語、アラゴン語、アイオレオ語、ブビ語、温州語まで、 
世界中の境界/周縁/辺境のことばを対象に、歴史と現状を見ているが、結局、 
播州弁は対照させるに値するのかという他者の目が突き刺さる。これを考えるた 
めに多様性理解におけるLGBTQ、BLMの動向とのメタ対照やことばのハイブリッド 
状況について概観する。

・佐藤美奈子(近畿大学非常勤講師)「ブータンの多言語状況と言語の複層化: 
コロナ禍における若者たちの民族語による啓発ビデオの制作と配信」
キーワード:ブータン、多言語社会、COVID-19
発表では、多言語社会ブータンを対象に、学校教育を通してゾンカ語と英語を習 
得した若者たちの複層的なアイデンティティ形成と役割認識に着目する。マクロ 
な政治体制とミクロな人びとの日常の間を取りもつ「仲介者」として機能する若 
者たちの動向を3つの視点から取り上げる。第1に、都市部の商店街における若者 
と商人の言語選択と切り替えに着目する。環境に応じて自身の会話を調節する若 
者たちの行動を、コミュニケーション・アコモデーション理論(Giles, et. al.  
1991)とオーディエンス・モデル(Bell1984)から説明を試みる。 第2に、コロ 
ナ禍においても英語とゾンカ語で情報を配信する政府に対し、若者たちが、自ら 
民族語によるコロナ啓発ビデオを製作し、SNSを通して配信した、草の根の動向 
を取り上げる。 第3の焦点は、若者たちの意識と行動化を促したメディアの機能 
と、国外へ向かう若者たちの動向である。「One People、 One Nation」(平山 
2019: 129)をスローガンにブータン人の等質化をめざす政府に対し、「ブータ 
ンの文化や価値観を相対化」(Ura1997: 247)する視点が開かれつつあるさまに 
着目する。

https://sites.google.com/site/araihoyu/forum33.pdf  
<https://sites.google.com/site/araihoyu/forum33.pdf> でより詳しい要旨を 
ご覧いただけます。

☆今後の予定
第2回(10月30日(土)):方言とメディアの言語的コンプレックス
発表者:井上史雄(東京外国語大学・明海大学名誉教授)
指定討論者:熊谷滋子(静岡大学教授)

第3回(1月22日(土)):言語史と言語的コンプレックス ー「対照言語史」の視点から
話題提供者:高田博行(学習院大学教授)、田中牧郎(明治大学教授)、堀田隆一(慶應義塾大学教授)


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