Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Mon, 21 Mar 2022 03:58:28 +0000
From: YAGIHASHI Hirotoshi <yagihashi@ks.kyorin-u.ac.jp>
Subject: [PSJ-News:00732] リマインダー:第14回動的語用論研究会のご案内
To: psj-news <psj-news@pragmatics.gr.jp>
Message-Id: <TY2PR02MB38210E4012F7550DCF638EB4E9169@TY2PR02MB3821.apcprd02.prod.outlook.com>
X-Mail-Count: 00732

日本語用論学会会員の皆さま
(※ML専用アドレスから配信しておりますので、本メールへの返信はご遠慮ください。)

田中廣明先生(京都工芸繊維大学)より、「リマインダー:第14回動的語用論研究会のご案内」のご案内を頂きましたので、会員の皆さまにお知らせ致します。
なお、重複してお受け取りの場合は、何卒ご容赦下さい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
皆様

 開催が近づいてまいりましたので、再度、ご案内いたします。ふるってご参加下さい。

田中廣明
-----
第14回動的語用論研究会

https://sites.google.com/site/dynamicpragmatics/

日時:2022年3月27日(日)12:50a.m.〜5:00 p.m.
場所:Zoomによるオンライン開催

   参加申し込み:https://forms.gle/b3WK8ztLcA8VjiAUA  

研究会はオンライン開催といたします。ご参加をご希望の方は、上記のサイトのフォームにて、以下の期日までにお申し込みください。

【事前申込締切:2022年3月25日(木)23:59】
事前申込みをいただいた方には、3月26日正午までにZoom情報をお送りいたします。期日までにzoom情報が送られない場合は、以下までメールにてご連絡ください。

秦かおり( hata.kaori.hmt@osaka-u.ac.jp  )

当日は17:30からオンライン懇親会(無料)がございます。

 趣旨説明と講師紹介:                   12:50 a.m.〜1:00 p.m.

「ことばと社会のダイナミズム」  田中廣明(京都工芸繊維大学・名誉教授)

 第一部 【研究発表】                  1:00 p.m.〜3:40 p.m.

テーマ:「ことばのダイナミズム」 

 1. 難波  彩子 (関西学院大学)    1:00 p.m.〜1:50 p.m.

「同調現象の創造性:同時性と反復性がもたらす対話のダイナミズム 」

 2.  梶丸 岳 (京都大学)                 1:50 p.m.〜2:40 p.m. 

「プイ語の掛け合い歌における静と動:「詩」と記号論的分析から 」

 (休憩)

3.多々良 直弘 (桜美林大学)        2:50 p.m.〜3:40 p.m.

「動的スポーツ実況中継論の試み 」

 第二部 【講演】                          3:40 p.m.〜5:00 p.m.

テーマ:「ことばと社会のダイナミズム」

 【講演】

「情動と応答の力学−2020年の#BLM運動に見る嘆願と説得のディスコース 」

井出 里咲子(筑波大学)

 終了後、17:30よりオンライン懇親会の予定(無料)。こちらもふるってご参加下さい。

 連絡先:田中廣明(京都工芸繊維大学・名誉教授)

世話人兼発起人:田中廣明(京都工芸繊維大学・名誉教授)・秦かおり(大阪大学)・吉田悦子(三重大学)・山口征孝(神戸市外国語大学)・岡本雅史(立命館大学)・小山哲春(京都ノートルダム女子大学)・木本幸憲(兵庫県立大学)・西田光一(山口県立大学)・五十嵐海理(龍谷大学)

 発表要旨

1. 同調現象の創造性:同時性と反復性がもたらす対話のダイナミズム

難波 彩子(関西学院大学)

コロナ禍の中で「大学」という社会空間では、他者との共存がますます複雑化している。「対話」を、話し手と聞き手の双方が一緒に築く対話の共創として捉え、対話者同士の協調と調和、一体感を導くような対話のダイナミズムを扱う取組が今、まさに必要とされる。上記の参与者同士の一体感をもたらす対話メカニズムの解明には、聞き手の役割への着目が必須となる。従来の談話研究では話し手のパフォーマンスから徐々に聞き手のステータスに焦点がおかれ始めている (Goffman 1981, Gumperz 1982, Gardner 2001, 水谷1993, Hinds 1987, Yamada 1997他)。対話における聞き手の貢献、「リスナーシップ」 (Namba 2011) は、対話の中で参与者同士の一体化に大きく関係する。また、非言語行動も含めたより多様な聞き手行動の詳細、複数の行動の同時性と反復性が対話へもたらす影響など、対話のダイナミズムの解明に向けたさらなる検証が必要である。

本発表では、親しい間柄にある大学生の多人数会話データから、リスナーシップ行動に基づいて起こる同調現象に着目し、参与者同士の一体感をもたらす同調現象の特質やプロセスを明らかにすることを試みる。同調現象を創造する主要要素として、複数の会話参与者による言語及び非言語行動の同時性や反復性を検証し、参与者同士の新情報交換から旧情報共有へと推移する対話のダイナミズムの新たな視点を提案する。同調現象を通じて参与者同士の親しみを深める基礎的なプロセスの解明が、親しい者同士による連携過程の可視化につながることを提示したい。

キーワード:同調現象、同時性、反復性、リスナーシップ、対話のダイナミズム、
 

2.プイ語の掛け合い歌における静と動:「詩」と記号論的分析から

梶丸 岳 (京都大学)

中国貴州省には「山歌」と呼ばれる掛け合い歌がある。発表者は以前山歌を修辞や結束性・整合性の観点から分析したが(梶丸 2013)、本発表ではそのうち貴州省羅甸県で歌われるプイ語の山歌「プイ歌」のやり取りの動態を、民族詩学および(新)パース記号論と指標性の観点から改めて分析する。

 プイ歌の掛け合いは会話の前提となる「会話の連鎖性への期待」を明示的に言及する長大なターンによって特徴づけられることはすでに明らかにしたが、本分析ではさらにこのやり取りが基本的には大小複層的な定型パターン(「詩」)によって構築されており、それによって現出する理念的世界を歌い手が演じる一方、同時にこの掛け合いが執拗に「今・ここ」を指標しており、やり取りの外で発生した「今・ここ」の出来事も柔軟に(コン)テクスト化しうるようにできていることを示す。以上の分析から最後に、静的な定型性に依存することで現実から離れたように見える演劇的相互行為においても、現実に実演される限り動的な構えが要請されることについて論じたい。
 

3. 動的スポーツ実況中継論の試み

多々良 直弘 (桜美林大学) 

本発表では情報技術の発展に伴い激動するメディア・スポーツの状況を概観した後、スポーツの実況中継における言語行動を分析することを目的とする。スポーツの実況中継は過去の出来事を描写するのではなく、目の前で刻一刻と動き続ける出来事を描写し、視聴者に届けている。実況解説にはどの文化でも視聴者が期待する適切な情報を伝達することが求められるわけだが、補足的な背景情報が提供されたり、言語文化によって試合の中で起こる出来事の異なる側面が言及されたり、同じ出来事が異なる形で解釈されたりする。言い換えれば、実況中継の参与者たちは目の前で起こっている出来事の全てを忠実にことばで描写しているのではなく、ある特定の視点から言語化する認知資源を選択し、ある種の物語を創り上げているのである。本発表ではサッカーや野球などの同じ試合(場面)における英語と日本語の実況中継を分析し、両言語の好まれる表現方法やスタイル、言語化される対象の差異を分析し、なぜそのような差異が生じるのかを分析する。

 
4. 情動と応答の力学−2020年の#BLM運動に見る嘆願と説得のディスコース

井出 里咲子(筑波大学)

本発表では、2020年5月に米国で起きたジョージ・フロイド事件を発端に生じたデモの現場の動画分析より、ことばのやりとりに人や社会が動かされるその仕組みを問います。特に、怒りや悲しみといった情動が、嘆願(pleading)、説教(preaching)といった形式を伴いながら、オーディエンスとの協働としての応答性をもって、歴史語用論的な空間に意味の束を生み出していくプロセスを明らかにします。前半では#BlackLivesMatter運動および黒人英語と嘆願、説得のレイトリックについて、後半では動画の分析を中心に話したいと思います。

キーワード:情動、反復、平行体、指標的連帯
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ 本メールへの返信はご遠慮ください。(ML配信専用アドレスです)
  当学会へのお問い合わせは、下記のアドレスにお願いします。
▼ DO NOT REPLY to this e-mail.   If you have any questions, 
   please e-mail us at "webmaster -at- pragmatics.gr.jp"
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼問い合わせ先
  会員管理室: psj -at- outreach.jp
  学会事務局: secretary -at- pragmatics.gr.jp
  広報委員会: webmaster -at- pragmatics.gr.jp
  ML配信依頼: webmaster -at- pragmatics.gr.jp
――――――――――――――――――――――――――――――
▼登録情報の変更
  住所・連絡先・会員ステータスの変更は、「会員専用ページ」
  にログインしてから、ご自身でお願いします。
  https://science-cloud.com/psj/mypage/
――――――――――――――――――――――――――――――
▼ 日本語用論学会公式ホームページ
  http://pragmatics.gr.jp/
――――――――――――――――――――――――――――――
▼『語用論研究』(SIP) バックナンバー
  http://pragmatics.gr.jp/journal/backnumbers/
――――――――――――――――――――――――――――――
▼「NEWSLETTER」バックナンバー
  http://pragmatics.gr.jp/archive/newsletter.html
――――――――――――――――――――――――――――――
▼PSJ 広報用Twitterアカウント
  https://twitter.com/psjoffice
――――――――――――――――――――――――――――――