日本語用論学会会員の皆さま
(※ML専用アドレスから配信しておりますので、本メールへの返信はご遠慮ください。)
東泉裕子先生(東洋大学)より、「【リマインド・要旨付き】2022年度ひと・ことばフォーラム連続研究会『「多様性」を捉え直す』」のご案内を頂きましたので、会員の皆さまにお知らせ致します。
なお、重複してお受け取りの場合は、何卒ご容赦下さい。
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当フォーラムは、様々な言語現象を研究対象に「ことばと人はどうかかわるか」を考える研究グループとして2012
年に発足しました。ことばと関連した「移動」、「メディア」、「語用論」などをメインテーマとして取り上げ、2019年度までは関東・関西をオンラインで結び年2
回、対面の特別公開研究会を年1回のペースで研究会を実施してきました。
2020年度からは新型コロナウィルス感染症拡大の状況を踏まえ、年3回の研究会をオンラインで開催してきました。2020年度は「マイノリティ言語を生きる」、
2021年度は「言語的コンプレックス」を年間の連続テーマに設定し、連続テーマのサイクル3年目となる2022年度は、「「多様性」を捉え直す」をテーマに、計
3
回の研究会を下記のように開催いたします。近年の社会動向を象徴するキーワードに「多様性」がありますが、そこから湧き上がる様々な疑問や議論を通して、私たちの言語、コミュニケーションに対する意識や枠組み、研究姿勢を問い直したいと考えています。
第36回(2022年度第1回)「危機言語」を捉え直す 6月11日(土)
第37回(2022年度第2回)「境界」を捉え直す 10月8日(土)
第38回(2022年度第3回)「研究」を捉え直す 2月4日(土)
2022年度第1回目(通算36回)は、フィリピンのアルタ語の言語シフトの研究で2021
年度社会言語科学会徳川賞を受賞した木本幸憲氏(兵庫県立大学)と、沖縄の首里・那覇の言語研究と言語復興に長年携わってこられた新垣友子氏(沖縄キリスト教学院大学)をお迎えします。消滅の危機に瀕する言語(危機言語)の存在は
1990
年代以降、広く知られるようになってきましたが、今回は、言語使用の当事者を中心に据えて研究・実践を進めるお2人から、「危機言語」を捉える研究視点の問題、「危機言語」記述や記録の実際、「危機言語」の継承や復興・教育の実践とそれを取り巻く問題などをお話しいただきます。発表者のお話に加え、全体ディスカッションを通じて、「危機言語」について理解を深めるとともに、「危機言語」を捉える視点の問い直しをめざします。
☆開催日時:2021年6月11日(土)10:00〜12:00
☆会場:ZOOM上で実施
※参加申込をされた方に6月9日(木)にURL及びパスワードをお送りします。
☆参加費:無料
☆プログラム:
10:00-10:05 趣旨説明:三宅和子(東洋大学)
10:05-10:45 発表者:木本幸憲(兵庫県立大学)
「危機言語をめぐるディスコースと話者コミュニティからみた言語シフト」
10:45-11:05 指定討論者:新垣友子氏(沖縄キリスト教学院大学)
「琉球諸語・沖縄語の現状と新話者育成の課題」
11:05-11:15 休憩
11:15-11:55 全体ディスカッション
11:55-12:00 閉会・連絡
-----(以下希望者のみ自由参加)
12:15-13:00 ランチタイム懇談会
☆企画:三宅和子(東洋大学)、東泉裕子(フリーランス)
学期中のご多忙の時期とは存じますが、多くの方にご参加いただければ幸いです。オンライン開催の都合上、ご参加を希望される方は2022年6月8
日(水)までに下記フォームよりお申し込みください。多くの方々のご参加をお待ち申し上げております。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfOGptD0YVUiOAnlcoyRKIzaQJ-P8ULogjqFHrBrkiTEkaEbQ/viewform?usp=sf_link
☆発表要旨
・木本幸憲(兵庫県立大学)「危機言語をめぐるディスコースと話者コミュニティからみた言語シフト」:
本発表では、消滅の危機に瀕する言語について、その社会的背景から二つの類型に分ける試みを行う。それを元にして、従来の危機言語の議論が一方の類型に偏ってきたことを指摘する。
危機言語の議論は、1990
年代に北米の言語学界から世界に広がった。危機言語の典型的なシナリオは、近代国民国家の形成過程において先住民がさまざまな形で抑圧され、同化を強いられる状況において発生する。その場合、さまざまな形で国語やそれに準じる言語を使用することが課せられ、自身の言語が消滅の危機に陥るというシナリオである。これは北米という文脈のみならず、日本の明治時代以降の施策にも見られる点であり、ある程度の普遍性を持つと考えられる。
しかし、このような言語シフトは世界の多様な言語の状況の一部しか反映していない。本研究が着目するフィリピンなどの多言語地域では、国語ではない、相対的に大きな言語への言語シフトが様々なレベルで発生している。これは上からの強制で発生するのではなく、社会構造の変化や人口の流動化などに対処するべく、当人たちが社会を生き抜くストラテジーとして発生している。
後者のパターンにおいて注目される点は、危機言語を一概に悪い影響を及ぼす現象として画一的に考えることは不可能である点である。コミュニティの目線に立った場合、多くの言語を話す能力や、大言語を習得することは、彼らがよりよい暮らしをするために欠かせない。外部の言語研究者である我々が言語シフトのみを取りあげて「危機言語問題」として嘆くことは、彼ら自身の生きざまを否定することになりかねない。本発表では、世界の諸地域に見られる言語シフトの多様性と価値の多面性に焦点を当てて議論していく。
・新垣友子氏(沖縄キリスト教学院大学)「琉球諸語・沖縄語の現状と新話者育成の課題」:
2009年に琉球諸語がユネスコに危機言語として認定されて以来、沖縄県、各市町村、NPO
等の民間団体等が様々な取り組みをしてきた。しかし、話者の減少に歯止めをかける事は出来ていない。沖縄県が実施した「しまくとぅば県民意識調査」(2020
)によると、しまくとぅばに対して親しみを感じる人が8割以上、そして(ある程度)理解できると答えた人は7
割いるものの、実際に「しまくとぅばを主に使う」と答えた人は全体で3.6
%しかいない。この数値の不一致から、堪能話者でさえも実際に日常的に、しまくとぅばを使っていないことが分かる。これまで堪能話者が沖縄語を使用していた家庭や友人間の領域でさえも、日本語に置き換わっていることを意味する。そのような状況を鑑みると、話者が沖縄語を話せる領域の維持・獲得と、新話者の育成が急務であると思われる。前者に関しては、堪能話者の高齢化による話者人口の減少という厳しい現状があるため、潜在話者を含めた新話者を対象とした取り組みが望まれる。
本発表においては、このような全体像を概観した後、後者に挙げた「新話者の育成」に焦点を当て、県内で若者向けに行われているプロジェクトや、地元の大学でどのような取り組みが行われているか、授業やゼミ等の実践における効果・課題について報告する。
☆今後の予定
第2回(10月8日):「境界」を捉え直す
発表者:クレア・マリィ(メルボルン大学)
指定討論者:坪井睦子(立教大学)
第3回(2月4日):「研究」を捉え直す
発表者:山田真寛(国立国語研究所)、川上郁雄(早稲田大学)
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