大会発表賞
日本語用論学会第23回大会発表賞のお知らせ(2022年4月1日更新)
先に開催された第24回大会の会員総会において、第23回大会の大会発表賞が以下の研究発表に対して授与されました。
◎金沢じゅん氏(東京大学大学院)
「英語の一人称・二人称代名詞の語用論的機能」
英語では1人称と2人称の使い分けを心理的位置関係をコントロールするための手段としている点に焦点を当て、三上章の概念を援用した説明を試みた点がユニークである。対峙的位置関係と並列的位置関係について図を工夫するなど、オンライン発表において資料を大変見やすく提示した点と誠実な質疑の態度が高く評価され、大会発表賞を受ける主な理由となった。今後の自らの改善の方向性を客観的、かつ明瞭に回答しており、他の発表に比して対応力のレベルが高い発表になっていた。
日本語用論学会第22回大会発表賞のお知らせ(2020年11月30日更新)
先日開催された第23回大会の会員総会において、第22回大会の大会発表賞が以下の研究発表に対して授与されることが発表されました。
◎大江元貴氏(金沢大学)
「「今日紹介する商品はこちら。最新薄型テレビ!」:主題の導入を演出する定型表現」
本発表は、ユニークな発表タイトルに示されているように、いわゆるビブリオバトルや商品紹介番組等で用いられる定型表現が、「談話の主題を演出的に導入して聞き手の注目を集める」という特定的な語用論的機能を持つことを指摘し、その語用論的機能がこの表現全体の構文的特徴と結びついていることを示したものです。一見すると特異な言語表現に思われる分析対象に対して、当該表現の語用論的制約を「共同注意」というコミュニケーション的観点で巧みに説明している点が、今後の語用論の新たな方向性を予感させるものと審査員に高く評価されました。また、発表面においてもオーディエンスに対するアピールに優れており、質疑の内容からもじっくりと時間をかけた研究が背景となっていることが窺われた点も評価されました。
なお、大会初のオンラインによる開催でしたので、REMOによるオンライン懇親会にて受賞者による受賞スピーチ動画が紹介されました(画像参照)。
日本語用論学会第21回大会発表賞のお知らせ(2019年11月26日更新)
2019年11月23日に開催された第22回大会の会員総会において、第21回大会(2018年12月1-2日、於杏林大学)の大会発表賞が以下の研究発表に対して授与されることが発表され、加藤会長から賞状と記念品が授与されました。
◎儲葉明氏(筑波大学大学院博士後期課程)
「日中語母語話者の「否定的評価」に関する対照研究 ―談話完成テストの分析を中心に―」
本発表は、日常的な場面で逸脱した行動をした相手に対し、日本語と中国語の母語話者による否定的評価ストラテジーがどのように異なっているかについて、ポライトネス理論に基づいた分析を行ったものです。研究テーマの明確さと発表内容のまとまりに加え、分析手法としてもDCT談話完成テスト及び統計的検定が効果的に用いられており、方法論としても優れていたと審査員に評価されました。一方、発表時間の制限の中で豊富な内容を収めるために、口頭での分かりやすい説明に加え、PPT以外の付録の印刷資料もあり、発表準備がよくなされていました。さらに、フロアからの多くの質問に対し、的確な回答を行っていたことも高く評価されました。